ハン・ガン『すべての、白いものたちの』

先日、東京へ行ったときの旅のお供はこの本でした📕
「白いものについて書こうと決めた。春。」
…と始まり、そのあとに筆者の“白いもの、目録”が記されています。
おくるみ
うぶぎ
しお
〜全部で15品目。
それから彼女自身の、白いものたちから連想されるとてもプライベートな記憶が、モノクロームの写真とともに散文詩のような形で綴られていきます。
生まれてすぐに亡くなった姉…か細い声で泣いて、たった2時間で息を引き取った赤ちゃんの匂いが、いつもこの作品の中に漂っています。
私は、ハン・ガンさんが生まれた韓国光州市に演奏旅行で訪れたことがあります。
1980年代に、民主化を求める国民を政府軍が鎮圧しようとして、多くの市民が犠牲になった街なんですよね…
静かで悲しいこの作品を読みながら、あの旅行のことも思い出していました。
それにしてもね、どうしてこんなに美しい文章が書けるんだろう…(訳は斎藤真理子さん)
たとえば“翼”と題されたページ、一匹の真っ白な蝶について書かれた描写なんて、美しさに目眩がしそうだった。
その感動を伝えようとして、こんな程度の文しか書けない自分が恥ずかしいな😣
私は一生、作家にはなれないわ…😰
この記事へのコメント